もしあなたがワキガで悩んでいるとしたら、どんなニオイなのか、どれぐらいのものなのか分からなくて困りますよね。
ニオイを数値で表すことができる、臭気測定器なんてものもありますが、これは世間一般的ではありません。
ワキガだけでなくあらゆる体臭や、衣類に染み付いたニオイも同じで、常に自身のニオイを嗅いでいるため、自分では全く気付かず周りの人たちがそのニオイの対応に困って、不快な表情をすることが少なからずあります。
そこでワキガとはどういうものなのかものなのか、そのニオイはいったいどんな種類があるのか、調べてみました。
それと同時に現在の自分が、ワキガ体質であるかどうか確かめることができる情報もお話しますね。
目次
植物学者「リンネ」によるニオイの分類
一般的にはあまり知られていませんが、下記の表は植物学者として最も有名「リンネ」によって分類された7種類のニオイ[注1]です。
原語 | 和訳 | 例 |
Aromaticos | 芳香臭 | 熟した果実やワイン、月桂樹など香草の芳ニオイ |
Fragrantes | 豊穣な香り | バラやユリ、秋の訪れを告げるキンモクセイなど、良い香りがする花のニオイ |
Ambrosiacos | ジャコウ臭 | ジャコウ(麝香)に代表される香料、生薬の一種で、精神の質を上昇させる気品ある香り。京都のお香やさんによっては麝香がおいてある。 |
Alliaceos | ニラ臭 | ニンニクやネギ、ニラも同じヒガンバナ科に属する植物で、鼻をつく刺激臭を発する。ニオイのもとは「アリシン」という化合物 |
Hircinus | 尿臭 | 強いアンモニア臭。または、タヌキやヤギなどのけもの臭や柿が腐ったようなニオイ |
Tetros | 悪臭 | 誰でも不快な気分になるようなニオイ |
Nauseosos | 腐臭 | ものが腐ったときに発する、吐き気をもよおすようなニオイ |
この地球上には、ニオイがする化合物が約40万種存在する[注2]といわれています。
ニオイというものは、いろいろ違った分子の構造が形を作っているのですが、人間は約 350 種類の覚受容体を持つとされて、その組み合わせにより認識できる香りは3000~10000種。[注3]
また、私たちの嗅覚は「順応しやすい」[注3]という特徴があります。
最初は気になっていても、長時間ずっと同じニオイを嗅いでいると慣れてきて、まったくといって良いほど気にならなくなるのは、人間の嗅覚は順応しやすいからなのです。
つまり、順応しやすいということは「慣れてくる」ことであり、言い換えれば「疲労しやすい」ということで、どんなに快い香りであっても、不快なニオイであっても素早く慣れてしまう特徴[注3]があるのです。
しかし、ニオイはその濃度によって、全く違うニオイを感じさせる場合があるります。
例えば、バニリンというニオイの物質は、バニラの香りがしますが、このニオイの濃度が濃くなると、人によっては古本屋さんと同じようなニオイになるのです。
また香水のニオイも同様に、一人ひとりは良い香りのニオイを発していても、ワークショップなどで若い女性が大勢集まったときは、それぞれの香水のニオイが混じりあいます。
そのことにより、とくに男性にとってはムッと息が詰まるような不快なニオイに感じることもあるのです。
このように、ニオイは量や質によっても、微妙に変化するため、それぞれどのニオイが快不快なのかを分別することは、とてものは極めて複雑かつ微妙[注4]なことなのです。
わきがとは
ワキガは、正式には「腋臭症(えきしゅうしょう)」と呼ばれるもので、別名「臭汗症(しゅうかんしょう)」ともいいます。
読んで字の通り、特別「汗が臭う」「脇(わき)が臭う」という、特別に強いニオイを発する症状で、簡単にいうと皮膚のアポクリン汗腺から分泌された汗が細菌によって分解され、独特の強い臭気を発生するようになります。
これがワキガというもになるのですが、かと言ってどこかしら病んでいるという、いわゆる病気ではありません。[注5]
(前略)ワキガは別名「臭汗症」「腋臭症」という、特別強いニオイを発する症状です。しかし、どこかが病んでいるという、いわゆる病気ではありません。(後略)
ワキガはあくまでも病気ではなく体質であるため、親からの遺伝的な要素が強く影響するのですが、それ以外にも食生活の偏りが大きく結びついています。[注6]
参考文献:[注6]マンダム 現代日本男性の腋臭(ワキ汗)に関する研究
肉類には汗腺類を活発にする成分が含まれていて、動物性脂肪をたくさん摂る食文化の国であるほどワキガ体質が多く[注7]世界的にみると日本人のワキガ体質は少ないようです。
でも逆に少ないからこそ目立ってしまうのかもしれませんね。
【関連記事】下記記事では「子どもへのワキガの遺伝の確立」と「食生活の偏りがワキガと結びつく要因」について詳しく説明していますのでぜひ参考にしてみてください。


ワキガ体質の「男女比」は女性が多い!?
女性は男性と比較して、ワキガの原因となるアポクリン汗腺が多く分布[注8]しています。つまり、女性の方がワキガになりやすいのです。
これは、性ホルモンの働きが男性よりも活発なことも影響しており、思春期に機能が発達しはじめ、粘り気のある汗分泌し、その分泌物は皮膚にある常在菌に分解され、体臭の原因になります。 [注8]
さらに男性に比べ女性の方が体つきが、ふっくらとした身体的特性をしているため、皮下脂肪が厚く、皮脂を分泌しやすいということも理由の一つ。
また、男性の場合は年齢を重ねるごとにワキガ臭の強度の低下が見られるにに対し、女性では年齢層が上がることによる腋臭強度の低下は見られません。[注9]
参考文献:[注9]マンダム 日本人男女の腋臭(ワキ臭)の違いを明確化
ワキガ「ニオイ」の「種類」
ワキガ臭は目で見ることはできないため、不完全な証拠により心理的にも大きな影響を及ぼすこともあるのです。
そして体臭にはニオイの特質から区別すると、脂質系、タンパク系、糖(炭水化物)系の3つに分かれます。
ワキガ臭はアポクリン汗腺から分泌される脂質系の体臭です。そのニオイの種類は主に
・甘いニオイがする「ミルク臭」
・玉ねぎやすっぱいニオイの「酸臭」
・チーズや納豆のような「カビ臭」
・カレー粉系の「スパイス臭」
・にかわを煮たような「蒸し肉臭」
・生乾きの雑巾のような「生乾き臭」
・鉛筆の芯のような「鉄臭」
に分類[注10]できます。
参考文献:[注10]マンダム 日本人男女の腋臭(ワキ臭)の違いを明確化
このほかに、日光に長い間さらされて古くなった洗濯バサミなど、劣化したプラスチックにも例えられています。
とはいえワキガ体質の人も、その日の体調よってニオイの強弱があります。感じかたに関しても、相手がニオイに対して無関心であれば、かなり強いニオイでも「気にならない」ことでしょう。
もしくはニオイに敏感であれば「我慢できない」ほどに感じてしまいます。
このようにワキガ臭と一言でいっても、個々の意見が偏っているため、その判断はとっても難しいことなので、ご参考程度にしてくださいね。
【関連記事】アポクリン汗腺から分泌される汗のさらなる解説は、下記のページに書いてあります。

自分はワキガ体質!?6つのセルフチェック
最近ではテレビのCMでも芸能人がデオドラントの効果をアピール。
そんなあおりを受けて現代社会では、ますますニオイに敏感になっているため、単なる「汗臭い」ニオイを「ワキガ」だと勘違いして悩む人が多くいます。
そこで、確実にワキガかどうか診断したい人は医師の診察が必要ですが、自分がワキガ体質なのかどうか、次の6つの項目に照らし合わせて、簡単にセルフチェックをしてみましょう。
▢耳アカが湿っている
▢両親のどちらか、または肉親にワキガ体質の人がいる
▢ワキ毛の量が多くて濃い、または太い
▢下着や服のワキの部分が黄ばむ
▢ワキに汗をかきやすい
▢肉類や脂っこい料理中心の食生活
(前略)6つすべてがあてはまる人はワキガ体質である可能性が濃厚です。(後略)
耳アカが湿っている
別名アメ耳とも呼ばれ、強いワキガ体質の人は、ほぼ100%耳アカが湿っています。[注15]
これは耳外道のアポクリン汗腺が活発なため、ベタベタしたキャラメル状の耳アカが出るのです。
両親のどちらか、または肉親にワキガ体質の人がいる
ワキガは残念なことに遺伝的な要素が強く影響します。
調査によると遺伝する確率は、片親がワキガである場合は50%の確率で、両親ともワキガの場合は80%の確率で遺伝するといわれています。[注13]
(前略)調査によると、両親ともワキガの場合は約80%、片親がワキガの場合は約50%の確率で遺伝するといわれています。(後略)
ワキ毛の量くて濃い、または太い
アポクリン汗腺は毛根と密着しています。ワキ毛が多ければ毛根も多いので、アポクリン汗腺の数も多い傾向に。
その結果、ニオイがする汗が出やすくなり、さらにワキ毛にからまることで、ニオイが持続します。[注14]
下着や服のワキの部分が黄ばむ
アポクリン汗腺から分泌される汗の成分には、タンパク質や脂肪のほかに、アンモニアや色素も含まれています。
そのため、白い下着をくり返し長く着用していると、時間の経過とともに汗の成分が変化して汗ジミで黄ばむことがあります。[注15]
ワキに汗をかきやすい
気温に関係なく大量に汗をかく多汗症とワキガは違います。
ただ、アポクリン汗腺の数が多く、働きも活発な人がこの2つを併発した場合、重度のワキガになる可能性も。ちなみに私の妻はこの併発タイプです。[注15]
肉類や脂っこい料理中心の食生活
肉類や乳製品には動物性脂肪や、脂肪酸、中性脂肪などが豊富に含まれています。
こうしたものを摂取すると、アポクリン汗腺の働きを活発にさせることが知られており、結果的に汗を臭くさせてしまうのです。[注16]
以上、6つの項目すべてがあてはまる方は、ワキガ体質である可能性が非常に高いです。[注11]
ただ、この6つがあてはまるすべての方は、必ずワキガ体質ということはありません。気になる場合は、ぜひ専門医に相談してみてくださいね。
【関連記事】黄ばみについての詳しい説明と、毛深さがどのようにワキガに関係しているかは下記の記事で紹介しています。


最後に
・ワキガは病気ではない
・遺伝的な要素が強く影響する
・遺伝率は片親50%両親80%
・女性のほうがワキガになりやすい
・ワキガ臭を判断するのは難しい
生活環境や人間関係におけるストレスがたまりすぎると、ホルモンバランスが崩れたり、自律神経に調和がとれなくなる他、運動不足に加えて、汗をかく習慣が少ないことも、ニオイがする汗をかく大きな原因です。
その上、ワキガ体質の人が動物性脂肪を摂りすぎると、ニオイをさらに強くさせてしまいます。体臭やワキガが気になる人は、肉類や乳製品の過剰摂取には十分に注意しましょうね。